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運命の日
一行はルージオに向けて歩を進めていた。
新人たちも初めての遠征で浮かれている。たしなめる教育係と、一緒になってはしゃぐ教育係。
つい、シャルロッテを連れてきてしまったが……
ほんとうに良かったのだろうか………
やがて目的地のルージオの街についた。
特に異変らしいものは感じられない。ここで異変が起こっているとすれば、特殊部隊がココにいること自体が異変とも言えるであろう。
特殊部隊の団体がフル武装でルージオの街にいるのだから。
そういえば……
指令書らしいものは本部から来てなかったような。 まぁあのジンバ隊長が見せるわけないが…。
なんだ……
なにか嫌な予感が………
ヴェルヌは胸の奥に重く居座り続ける違和感を押し殺していた。
(先輩……?どうしたのかな……)
やがて36番が中央に集まり、ジンバ隊長が中央にノシノシと上がってきた。
すぅ……と大きく息を吸い込んだかと思うと、
突然!!
ジンバ隊長が大声を上げた!
ジンバ『さぁ……!
ショータイムだ!
お前ら暴れやがれ!皆殺しだ!
ぐはははははははははははっ!』
高らかに笑い声を上げる隊長だが、周りにはターゲットらしき敵は誰もいない。
隊員がジンバに問いかける。
『隊長っ!目標(ターゲット)がいません!』
ジンバは面白そうに舌なめずりをし……
ニヤけきった顔を突き出して……
ジンバ
『お前らがターゲットだよ!』
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ジンバ『さぁ、暴れろっ!』
ルージオは混沌と化した。
怒号、悲鳴、武器のぶつかる音。
逃げ惑う新人たち、戦いを挑むものもいたが次々にやられていく。何体かは返り討ちにしたのだが、次から次へと湧いてくるからキリがない。
ジンバの横に現れた1匹の高位魔族がジンバに手をかざし契約を交わす。
いったんはうずくまったジンバが大きく咆哮すると
ジンバ『コレだっ、このパワーっ!!!
溢れる……溢れるぞぉっ!!!』
36番の半数以上が倒れた凄惨な戦場を一瞥し、
ゲートまでの道に塞がる元部下を切り捨てながらジンバはゲートに消えた。
ヴェルヌ『シャル!
離れるな!手を出さずにジッとしてろ!!』
怯えた目でコクコク頷くシャルロッテ。
この子だけは死なせるわけには行かない!
ヴェルヌは魔族の攻撃を槍で受け流し、槍の柄で突き飛ばし距離を取る。間髪入れず覚えたてのドラゴントゥースを決めていく。
迫りくる魔族を1匹…………
また一匹と屠るがキリがない……。
槍は多くの敵を屠るのには向いていないのである。
シャル『きゃぁ!』
反対側から現れた新手の魔族に気を取られている間に、魔族が迫ってきていた!
態勢を入れ替えて一撃からシャルを守る!
ガキッ!!
ヴェルヌの槍が折れた!
ヴェルヌ『ちっ!!』
その剣を試すようにひと振りしていると、シャルの叫び声がする!
見ると大きな火球が目の前に迫っている。シャルを突き飛ばし反対側へ飛ぶ!
しかし………
ヴェルヌ『しまった!』
シャルの周りには別の魔族がっ!!自分の周りの魔族を叩き伏せ、シャルのもとへ………!
そこに届く2撃目の火球!!
ずごぉぉぉん!
大きな音を立てながら火球が着弾すると、建物の壁に大きな穴が開いた。『シャル、中だっ!』ヴェルヌは叫びながら広がる煙の中に飛び込んだ。
ヴェルヌ『シャルーーーっ!!!』
連れてこなけりゃよかった!
ピクリともしない、教え子の躯が頭を過る。
戦場は遊びじゃない!
一時の気の迷いが生死を分けるんだ……!
連れてこなけりゃ…………よかった!!!!
Σ(,,ºΔº,,*)はっ!
夢か………
ヴェルヌの身体は汗でびっしょりだった。
だいぶうなされていたようだ。
………あの時は多くの仲間が死んだ。
仇は討ったが失われた生命は戻ってこない。
つづく
この第一回が2016.1.13
6年弱の時を経て加工技術も少しは上がったかな、かな?そんなとこもご確認いただきながら見ていただけると嬉しいです♬
でわでわ………
今日も元気に
行ってらっしゃい♬
またねっ♪(゚▽^*)ノ⌒☆